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【新シリーズ】祈りの場 弔いの場 「世界平和記念聖堂」

 2025年は敗戦から80年となる。コロナや戦争、災害など、今もなお世界中で多くの命が失われていくなか、やり場のない悲しみを和らげ平和を祈る場が必要とされているのではないだろうか。あるいは、亡くなった人を弔い静かに死を悼む場所として、また大切な人を亡くした家族の哀しみを少しでも癒す場所として、こうした場所の必要性は時代が変わっても不変のものといえる。また、その建築が周囲の環境と一体となって、その地域の風景となり長く残っていくことで、まちの記憶を伝えるとともに人々の拠り所となっていく。こうした祈りや弔いの場を建築家はどのようにしてつくりだしてきたのだろうか。また、その空間はどうあるべきだろうか。

 この連載では、教会、礼拝堂、斎場、火葬場、寺、納骨堂、祈念施設など、過去から現代まで、建築家が手がけた祈りと弔いの場を取り上げていく。変わっていく街並みのなかで、変わらない存在として静かに建ち、人々の気持ちを安らげてくれる祈りと弔いの空間について考えたい。

写真=市川靖史

写真=市川靖史 図=京都工芸繊維大学美術工芸資料館所蔵

世界平和記念聖堂1954年
-―村野藤吾が祈りの造形に込めたもの
松隈洋

写真=市川靖史

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