日本古来の空間は闇や暗さのなかに本質があり、そうした空間のなかでこそ物やふるまいの美しさが引き立てられると記した谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』。谷崎がこの文章を発表した約90年前(初出1933年)に比べると、現代の住宅空間は外国の文化が浸透し暮らしも技術も大きく変わり、明るさ・暗さに対する認識や、光の取り入れ方も大きく変化してきていると言えるだろう。とはいえ、均質な明るい空間よりも、光が移ろっていくさまや、木漏れ日、陰影や暗がりに美しさや心地よさを感じる人は少なくないだろう。とくに、長い時間を過ごす住宅においては、生活に変化を与えてくれるものとして重要な要素となる。本特集では、日本建築における光と翳の特質とはどのようなものであるかを改めて考える機会とし、手嶋保氏による巻頭文、中川武氏の論考、5名の設計者によるそれぞれの「光と翳」による空間の設えを紹介する。
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トップページ写真=楠瀬友将、笹倉洋平、傍島利浩
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次号予告
『住宅建築』2026年8月号 No.518|6月18日発売
〈特集〉改修 空間を記憶する
鈴木恂「SIH」
奥村昭雄/武山倫「星野山荘」
建畠嘉門/坂田華「Tatehata House」
岩元真明「リ・リ・リノベーション」
小滝健司・高藤万葉「タンバリンハウス」
久米岬「北杜の石の間」「吉祥寺の小さな住まい」「奥田染工場」
〈特別記事〉生闘学舎を再び覆う屋根
文=髙野生
〈連載〉
手描き図面に込めた想い 第28回
光安義光の建築 その3
「兵庫県庁舎」
次代の建築家 第23回
辻林政憲「如ノ家」

