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【特集】住まい 100年後の風景 『住宅建築』No.503 2024年2月号

 住まいの100年後はどうなっているのか? 住宅に限らず、いまだに建物があっという間に壊され建て替えられているが、どこかの段階でそうしたやり方に限界がくる。20年後、30年後、100年後、さらにその先に向けて、これからどんな建築を目指し、建築という文化をどう繋いでいくべきだろうか。一言でいえば、住まい手や使うひとが「愛着を持てる建築をつくること」。これに尽きるのではないだろうか。それはつくり手が果たすべき役割である。
 木造、コンクリート、伝統構法、在来構法、現代の設備、施工・解体時に環境負荷を少なくする建て方……。ここにその答として現れてくるかたちは多様だ。
 過去の建築が今の私たちに影響を与えているように、今の建築が、未来を生きるひとたちに何らかの影響を与えるだろう。だからこそ、建築は長い時間を見据えてつくらなければならない。(上写真=畑拓)

第1部 健やかに住まう
 2025年からすべての建築において省エネが義務化されるが、性能基準を満たすだけではなく、性能と心地よさが結びついていなければならないだろう。その一方で数値化できない地域らしさや心地よさをつくり出す「気候風土適応住宅」や「土中環境」への取り組みも広まりつつある。住まい手が無理なく快適に、健康に暮らしつづけていくために、どのような住まいをつくっていくべきだろうか。3名の設計者の取り組みから考える。

自然を育む石場建て 文=水野友洋

生物たちが心地よい環境を育む石場建ての民家
音楽家の家 設計=水野設計室/水野友洋

写真=畑拓

家づくりのプロセス
石場建て・建て方・土中環境再生 文=水野友洋

茅葺きと火の暮らしを繋ぐ
愛知の茅葺き再生 改修設計=水野設計室/水野友洋

写真=畑拓

「気候風土適応住宅」を正しく理解し、
地域に根ざした住まいづくりを 文=編集部

土を使った快適な住まいを伝建地区に新築する
有松再生プロジェクト 設計=トヨダヤスシ建築設計事務所/豊田保之

写真=市川靖史

土と職人を生かす 文=豊田保之

町と緑を介して繋がり、開いても閉じても心地よい住まいへ
甲府の家2 設計=伊礼智設計室

写真=畑拓

心地よさのものさしを探して 文=伊礼智

第2部 受け継がれる住まい
 
多少不便があっても愛着があるから住み続けたい、直して使い続けたい、という人の想いが住まいを繋いでいく。どのように継承されたのか、建築がもつ力を語っていただいた。

吉村順三と猪熊弦一郎、2人の友情が生んだ創作と交流の場
猪熊邸 設計=吉村順三

写真=市川靖史

座談 吉村順三と猪熊弦一郎
生活に寄り添い、手を動かし続ける
片岡葉子・大澤悟郎・吉村隆子 聞き手=松隈洋

既存を継承し、新たな都市の風景を創造する
NAH6601・GLH1209 設計=鈴木恂+内木博喜/AMS architects

右写真=鈴木悠 左写真=傍島利浩

大佛が愛し、文化人たちが集った茶亭を再生
旧大佛次郎茶亭 茅葺き施工=くさかんむり

写真=笹倉洋平

鎌倉から世界を考えた文人・大佛次郎が残した
茅葺き屋根の数寄屋建築
文=岡崎麗

第3部 循環する住まい
 
各地で自然災害が相次いでいる。また、人口減少や高齢化が進んでいる地域も少なくない。こうした状況のなかで、災害が起きても自立的な生活を行うことができ、まち全体で循環できる仕組みづくりが求められている。森の資源を生かし持続可能な暮らしを目指す、宮城県・鳴子の取り組みを紹介する。

森に生かされた新たな暮らしのはじまり
-サスティナヴィレッジ鳴子と鳴子こども園- 文=安藤邦廣

写真=齋藤さだむ

木を段階的に利用し、持続可能な暮らしを目指す
サスティナヴィレッジ鳴子
配置計画=伊坂デザイン工房/伊坂重春+相羽高徳
長屋棟、戸建住宅棟、エネルギー棟設計=里山建築研究所/安藤邦廣
研修棟移築改修設計=伊坂デザイン工房/伊坂重春

木に触れ、遊び、学び、自然と共に生きる心を育む
鳴子こども園 設計=里山建築研究所/安藤邦廣

座談 東日本大震災からの復興、
森林を基盤とした持続可能な地域社会を目指して
大場隆博・大場江美・成田雅宏・菅原仁人・菅原正義・小林休・猪股純子・鈴木久美子・安藤邦廣・岡原玄八

木材生産の現場から――大場隆博さんに聞く
文=編集部

 

 

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