【特集】能登のこれから―里山里海とともに
低山と丘陵地が多く日本海に囲まれた能登半島は、山・海の恵みを活かした農林水産業、祭礼文化、輪島塗をはじめとする工芸が脈々と受け継がれてきた。こうした自然と繋がる暮らし・営みは、「能登の里山里海」として2011年に世界農業遺産に認定された。そしてこの地域の暮らしと営みを象徴する風景の一つと言えるのが、海沿いを中心に点在する黒い瓦屋根の集落である。釉薬のかかった黒い瓦は雪や塩害、凍害に強いとされ能登地域では広く用いられてきた。
2024年元旦、能登半島を最大震度7の地震が襲った。さらに9月下旬には豪雨の被害を受けた。倒壊した家屋や、水も電気も使えない避難所で過ごす人たちの報道を見て建築の無力さを感じた人もいたかもしれない。ここでは、能登半島地震から約1年となるいま、現地の状況を伝えるとともに、自然とともに存在してきた能登の文化・営みを繋ぎながらどう復興していくべきなのか、能登で活動する建築家や現地に暮らす方の声を聞いた。各地で起こりうる自然災害に対して、建築に何ができるのか、どんな住まいをつくっていけば良いのか、考える機会としたい。
(写真=市川靖史)
インタビュー
地域の祭り文化を伝え、人とまちを結ぶ 石川県七尾市
岡田翔太郎
インタビュー
伝統構法を見直す契機に 石川県七尾市能登島
奈良雄一
心身ともに休まる居場所
湯宿 さか本 石川県珠洲市
設計=高木信治建築研究所 改修設計=橋本建築造園設計/橋本浩司
対談
能登の暮らしと風景を伝えるさか本
坂本新一郎×橋本浩司
レポート
能登半島地震における伝統構法民家の被災状況調査から
日本民家再生協会 民家再生技術部会