【特別記事】街に開かれた長屋の暮らし 『住宅建築』N0.501 2023年10月号
新しいコミュニティの核となる住まい
清水の森 長屋 設計=吉村理建築設計事務所
建築家の吉村理さんが関わる、大阪府堺市深井清水の「清水の森プロジェクト」の一つで「清水の森 長屋」を紹介する。このプロジェクトは、清水で新しいお店が増える一方で子供が減り地域内のコミュニティが希薄になっている現状に対して、古い民家の母屋や蔵をカフェやイベントスペースに改修するなどして、さまざまな世代が集まれる場所を街の中に生み出していくという取り組みである。素材の使い方にも配慮し、解体される古民家の部材を再利用し、新材の場合は大きく厚みのある木材を使うことで将来的なカスケード利用が考えられている。長屋は2階が木に包まれたプライベートな空間、1階は軒下にベンチや水場が設けられ、住まい手の暮らしが街に滲み出し、開かれた場がつくり出されている。