[特集]極小空間の醍醐味 『住宅建築』No.497 2023年2月号
DIYで小さな家を建てたり、書斎として小屋を設けたり、在宅ワークや移住など暮らし方の変化に伴って、「小さな空間」への注目が高まっている。実際に手を動かしてつくることの楽しさが味わえること、解体・移築が容易なこともその理由だろう。日本建築史意匠を専門とする松崎照明氏によれば、元来、日本では山修行のための行者の庵や鴨長明の方丈庵、茶室など、小さな建築が重要な役割を果たしてきた。また名建築として知られる千利休の「待庵」や、コルビュジエの「カップ・マルタンの休暇小屋」をはじめ、小さな空間には設計者の創意工夫が凝縮され、自然の要素を取り込んだ豊かさがある。特集では、現代の極小空間7題を紹介する。また、ジャン・プルーヴェも多数の小屋を手がけたが、2022年秋に開催され、BCC組立式住宅の実物展示などで話題となった「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」(東京都現代美術館)の山名善之氏によるレポートも掲載する。
園児が初めて体験する日本建築
樹上の待庵 設計=すわ製作所/眞田大輔・西寿隆
和束町の茶畑で茶をたしなむ
組み立て茶室 設計=すわ製作所/眞田大輔・西寿隆・早川太史
2畳の茶室で非日常を楽しむ
勝福寺正庵 設計=大角雄三設計室
仲間が集い、海景に漕ぎ出す小船
SEA SCAPE CABIN 設計=トシプランニング/渡邊俊雄
ローコストで静謐な空間をつくる
Sauna Hütte 設計=うがつ/藤木慶一
地域材を使い、地域の職人と共につくる
KOYA 設計=環境デザインワークス/清水裕且
中庭の景色を取り込んで、伸びやかに暮らす
BARN 8 設計=吉本剛建築研究室
展覧会レポート 東京現代美術館
「ジャン・プル―ヴェ展ー椅子から建築まで」
Constructive Imaginationの共振の輪の拡がり 文=山名義之